扇山温泉

公園、病院、小学校が立地するなだらかな丘陵地は、ゆとりある敷地の住宅街を形成する。側には2級河川の境川が流れる。整備された岸辺には桜並木が風にゆれ、市民や観光客が憩う姿が見られる。
そんな住宅街の坂道の途中に共同浴場がある。コンクリート製の建物は平屋で、入口付近はぼんぼりで飾られていた。扉は開け放たれ、いちべつでは男女の区分が分からず暫し戸惑った。向かって左側が男湯だった。




中に入ると青い長椅子が目に留まる。そのまま進むと左側に脱衣棚、右側に浴槽が配置されている。脱衣場と浴室が一体となった造りだ。浴槽には手前に階段と手すりが設けられている。過去の記憶を紐解けば、四隅を落とした四角い浴槽だったはず。淵を見ると改修の形跡があった。

浴槽を満たす湯を手にすくうと硫黄臭とも硫化水素臭ともつかぬ臭いが鼻腔を刺激する。浴槽の湯はごく薄い白濁だ。隅にある源泉枡から湯を汲み上げてみる。明らかな硫黄臭とツンと来る硫化水素臭がする。枡の中では白い粒子が浮遊している。温泉文化研究所(青森さん)のサイトによれば堀田温泉からの引き湯とのこと。泉質は単純温泉ながら硫黄泉との印象を受けてしまいそうなほど個性がある。枡から汲み上げた湯は激熱で指先さえ浸すことができない。冷めた源泉を口に含むと弱いとろみを感じた。




浴槽には加水用の蛇口がある。後客の方は源泉を加えながら加水をしていた。
丁寧に管理されている組合員専用の共同浴場、温泉まつり限定とはいえこころよく無料で提供していただいていることに感謝しながら浴舎を後にした。


扇山温泉
別府市扇山
単純温泉
泉温不明
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
ジモ専(組合員以外入浴不可)
2018/3/31